◆お薬手帳を持参している方が価格が安い場合が!
先日、薬をもらいに薬局へ行ってきたのですが、
お薬手帳の重要性を紹介する掲示物と併せて、こんな記載がありました。
「H28年4月の法改正により、
お薬手帳をご持参いただきましたら、負担額が減額になることがあります」
調剤薬局では、今までもお薬手帳の普及・管理徹底を進めていました。
薬局経営においてもですが、患者さんの投薬管理においても重要かと思います。
クリニックでも、お薬手帳があるとだいぶ診察においてプラスになりますし、
問診票や診察前の症状・服用歴の確認がスムーズになります。
以下、あくまで調剤薬局での算定の話ですが、
クリニックにて知っておいて損はない内容ですので記載いたします。
調剤薬局の施設基準など、算定内容によっては必ずしもこの限りではありませんが、
そもそも、お薬手帳については「薬剤服用歴管理指導料」に含まれます。
薬剤服用歴管理指導料の主な算定要件ですが、
・薬剤情報提供文書(投薬された薬の情報・説明)の提供、説明
・薬剤服用歴(医科でのカルテ)の記録、指導
・残薬の確認
・ジェネリック医薬品に関する情報提供
さらに、上記の要件に加え「お薬手帳」の交付があり、交付の有無で点数が変わります。
今までは「手帳あり41点」/「手帳なし34点(よく見かけるシールのみ渡した場合はこちらを算定)」でした。
2016年4月の改定により、
6ヶ月以内に同じ薬局を利用しお薬手帳を持参した場合、この「薬剤服用歴管理指導料」の点数差が12点になります。
3割負担の患者さんで、自己負担分30~40円安くなります。
1.原則過去6月内に処方せんを持参した患者に対して行った場合 【38点】
2.1の患者さん以外の患者さんに対して行った場合 【50点】
※参考までに「平成28年度調剤報酬改定及び 薬剤関連の診療報酬改定の概要」より抜粋し記載しておきます。
初めて薬局を利用する場合や2回目以降の利用でも6ヶ月以上同薬局を利用していない場合、
施設基準として「調剤基本料」の算定内容によっては安くはなりません。
厚労省では「かかりつけ薬局」を推進しています。
今までは医療機関それぞれにある門前薬局の利用が多かったかと思いますが、
今後は患者さんの自宅近隣の薬局など、利便性が良く・信頼できる薬局を一つのかかりつけ薬局として、一元管理を目指しているかたちです。
(患者さんは複数の医療機関の処方でも、その1つの薬局で調剤してもらい、飲み合わせや残薬の管理を徹底する)
この「かかりつけ薬局」推進の一環としての改定内容ですが、
このあたりの施策は、クリニックでも意識・確認していきたいですね。
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「平成28年度調剤報酬改定及び 薬剤関連の診療報酬改定の概要」
■薬剤服用歴管理指導料の評価の見直し
初回来局時の点数より、2回目以降の来局時の点数を低くする。
【薬剤服用歴管理指導料】
【改定前】(処方せんの受付1回につき)41点
[算定要件]
注: 患者さんに対して、次に掲げる指導等のすべてを行った場合に算定。
ただし、次に掲げる「ハ」を除くすべての指導等を行った場合は、
所定点数にかかわらず、処方せんの受付1回につき34点を算定する。
ハ:調剤日、投薬に係る薬剤の名称、用法、用量その他服用に際して
注意すべき事項を手帳に記載すること。
【改定後】
①原則過去6月内に処方せんを持参した患者に対して行った場合38点
②①の患者さん以外の患者さんに対して行った場合50点
[算定要件]
注: 患者さんに対して、次に掲げる指導等の全てを行った場合に
処方せん受付1回につき所定点数を算定する。
ただし、手帳を持参していない患者、区分番号00の1に掲げる調剤基本料1(41点)
若しくは区分番号00の4に掲げる調剤基本料4(31点)以外の調剤基本料を算定する
保険薬局に処方せんを持参した患者に対して、次に掲げる指導等の全てを行った
場合は、50点を算定する。
・薬剤服用歴の記録への記載について、指導後速やかに完了させるとともに、
同一患者についての全ての記録が必要に応じ直ちに参照できるよう患者ごとに
保存・管理する。
・薬剤情報提供文書について、処方内容が前回と同様の場合等においては、
必ずしも指導の都度交付する必要はない。
(※交付しない場合は、その理由を薬剤服用歴の記録に記載する。)
・手帳については、患者に手帳を保有することの意義、役割及び利用方法等について
十分な説明を行い、患者の理解を得た上で提供することとし、患者の意向を確認した
上で手帳を用いないこととした場合 及び 複数の手帳を1冊にまとめなかった場合に
あってはその理由を薬剤服用歴の記録に記載する。
・電子版の手帳について、紙媒体と同等の機能を有する場合には、算定上、紙媒体と
同様の取扱いとする。